6月22日、東京・青山の、東京ウィメンズプラザにて、「ジェンダー平等こそわたしたちの未来」シンポジウムが、開催されました。(医学部入試における女性差別対策弁護団” 医学部入試における女性差別対策弁護団主催)
弁護団の事務局長である山崎新弁護士より、これまでの弁護団の活動として、東京医科大学、順天堂大学への訴訟提起の報告、和田美香弁護士より、クラウドファンディングにより活動資金の寄付が740万円にも達し、訴訟活動の後押しとなっていること、シンポジウムの開催に至ったことについて報告がありました。
●吉野一枝氏(産婦人科医・臨床心理士)による報告
吉野一枝氏からは、今回の医学部入試不正事件については、一部の医療者からも、女性は結婚出産等を経て現場から離れることがあるため、差別されても仕方がないと正当化するような受け止め方が報道されたことに対し、「過労死寸前の医療の現場の問題が、女性の問題にすり替えられている」と指摘し、医療現場のダイバシティを推進し、男性医師・女性医師双方の働き方を変えていくべきであり、それが医療全体の質の向上に資すること、女性に関する医療の進歩も推進されると指摘しました。
●山口一男氏(シカゴ大学ライフ・ルイス記念特別社会学教授、シカゴ大学グラハムスクール理事)による報告
山口一男氏は、日本において諸外国と比較して女性の医師割合が低い理由として、2000年以降女性の受験生は増えているのに、医大・医学部の入学者の女性割合が頭打ちになっており、多くの医学部で、入試における女性差別が行われた可能性が高いと指摘しました。また、女性医師が皮膚科・眼科などの科に偏り、女性医師が多いとバランスの取れた供給ができないという意見に対しては、供給過多の専門医の選択に関し、男女合わせた人数に大学で制限を設けたり、供給の足りない分野で奨学金や研究費や給与で差をつけてインセンティブを高めることで解決できると指摘しました。
●辻村みよ子氏(明治大学専門職大学院法務研究科教授)による報告
辻村みよ子氏は、大学において、今回のような入試における女性差別についても、違法ではなく「不適切」との認識にとどまっているが、仮に女性の募集人数を明示して女性の人数を抑制する入試を実施したとしても、「女性の医師の数を抑制する」という目的自体の正当性が認められず、判例の基準に照らしても違法であると指摘しました。一方、教育の場においても、女性の活躍を推進するために穏健なポジティブ・アクションが議論されるべきと指摘しました。
●パネルディスカッション
佐藤倫子弁護士の司会により、登壇者によるパネルディスカッションが行われました。医学部不正入試について、様々な議論があるが、社会的機会の男女平等という重要な憲法上の価値を、医療現場のマネジメントの話と同列に語って、相対化するべきではないとの議論がなされました。医療のみにとどまらず、政治、経済の分野において女性の参画が進んでいない状況に対しても、市民自身が声をあげて現状を変えていく活動がもっと求められること、その一環として今回の訴訟活動にも重要であることが確認されました。
アンケートでは、全国各地から今回のシンポジウムに参加していただいた皆様からコメントをいただき、大変励まされました。ご参加いただいた&応援いただきました皆様ありがとうございました。